株式会社タキオンワタナベ

渡邊央剛

京都市南区久世川原町198-18 075-934-0630

株式会社タキオンワタナベ 渡邊央剛

略歴

高等学校卒業程度認定試験合格後、関西外国語大学で英米語を専攻し、ニューヨーク州立大学経済学部にも在籍。その後、同志社大学大学院ビジネス研究科で経営学を深め、現在は京都大学大学院法学研究科で法学を学ぶ。
ニデック株式会社では永守氏の経営手腕を間近で学び、広報業務を通じて経営の現場を経験。2020年には株式会社タキオンワタナベの取締役に就任し、創業者の死後15年にわたり売上が下降傾向だった会社の抜本的な改革と再建に尽力している。

現在の仕事についた経緯

父が創業した製造業の会社を継ぐことは、幼い頃からどこかで意識していた一方で、自分の進む道は自分で決めたいという気持ちも強くありました。
大学卒業後はメーカーに就職し、現場でのものづくりやマネジメントを学ぶなかで、ものをつくる面白さや奥深さを改めて実感しました。
父の他界後、経営難に陥っていたことを耳にし、家業を継ぐ決意を固め、タキオンワタナベに入社。現在は代表として、社員と共に日々挑戦し続けています。伝統に根ざしつつ、進化し続ける企業を目指しています。

仕事へのこだわり

私が仕事をする上で大切にしているのは、「質・効率化・機動力」という、当社のスローガンに込めた姿勢そのものです。

まず「質」です。どれだけ納期が迫っていても、品質だけは絶対に妥協しない。それが私たちの矜持です。小ロット多品種の試作対応では、「これでいい」ではなく「これがいい」と言える精度を追求してきました。お客様の期待を超える製品を出すために、職人の感覚とデータを両立させながら、最良を目指しています。

次に「効率化」です。限られた時間・資源の中で最大の成果を出すには、常に改善の視点が欠かせません。私自身、若い頃から「なぜこの工程があるのか」「この順序は最適か」といった問いを持ち続けてきました。現場と一緒にフローを見直すことで、ただのスピードアップではなく、無駄を削ぎ落とした“考え抜かれた動き”をチーム全体で実現しています。

そして「機動力」です。これは当社の最大の強みでもあります。お客様から「急ぎでお願いできないか」と連絡があれば、社内の誰よりも早く動く。経営者になった今も、私は“現場の一員”という感覚を大切にしています。素早く判断し、柔軟に対応し、すぐ形にする。このスピード感が信頼につながると確信しています。

これら三つの柱は、単なる目標ではなく、日々の判断や行動の「軸」です。どんなに時代が変わっても、この姿勢さえブレなければ、私たちのものづくりは進化し続けられると信じています。

若者へのメッセージ

社会を見て「たいしたことないな」と思ったら、ぜひ一度、その世界に自分の身を置いてみてください。福沢諭吉は『学問のすすめ』の中でこう語っています。「他人の働きに口を出したいなら、自分でその働きを経験してからにせよ」と。これは、私自身が何度も痛感してきた真理です。

どの仕事にも誇りがあり、どの現場にも挑戦があります。だからこそ、外から見ただけではわからない努力や工夫に気づける人になってほしいです。評論する前に、まずやってみる。それが本当の理解に近づく第一歩だと思います。

そして、働くとは「誰かの役に立つこと」です。その形は一つではなく、あなたらしいやり方で構いません。自分の好奇心に正直に、やりたいことに飛び込んでください。いまは一つの道を極める時代ではなく、変化に柔軟であることが強みになる時代です。

大切なのは、肩書きや経歴ではなく、自分の足で歩く意志です。自分で選び、自分で動く。その一歩を踏み出す勇気が、これからのあなたをつくります。