菊子自然農園

菊子晃平

菊子自然農園 菊子晃平

略歴

全農に就職するも、世界の農業を見たいと退職。単身でアメリカに武者修行に出る。30代で、当時全米最大の農業協同組合の日本法人を設立し、代表に就任。のちにアジア代表も兼任。
還暦を契機に日本農業の変革を志し、クワ一本で耕作放棄地を自然農園に再生。現在は、菊子自然農園14農園の経営、自然栽培農学校の開校(3年目)、厚木市有機農業推進協議会の会長、著書『儲かる農業への挑戦“アグリルネッサンス” ~週末は皆で畑へ~』(幻冬舎)。

現在の仕事についた経緯

私は秋田の豪雪地帯で農家の次男として育ち、「なぜ農家はこんなにも苦労しているのに報われないのか」という疑問を抱いてきました。
全農に入社し農業の現場を学びましたが、日米間で牛肉とオレンジの自由化が決まり、「世界の農業を自分の目で見たい」と決意し退職。
アメリカに渡り、ダイナミックで合理的な農業経営に衝撃を受けました。
帰国後は外資系企業を立ち上げ長年経営しましたが、還暦の時に「自分が本当に命を懸けてやるべきこと」に気づきました。
それがクワ一本で始めた自然栽培です。
農薬、肥料、除草剤を全く使わない農業をやる、と言うと信じてもらえませんでしたが、挑戦を重ね今では神奈県内14の農園と自然栽培農学校の設立へと発展しました。

仕事へのこだわり

私の信条は「やるなら一番を目指す」ことです。
外資系企業の経営時代も、自然農業の現場でも、中途半端な努力では何も変えられないと痛感してきました。
批判や困難は覚悟の上。大切なのは、言葉ではなく行動で信念を示すことです。
耕作放棄地を一つひとつ再生し、農薬も肥料も使わない自然栽培を実現してきました。
この取り組みは効率や利益では測れません。
しかし、自然と共に生きる農業こそが、“本当の豊かさ”を次の世代に残す道だと信じています。
私の挑戦は、未来の農業を取り戻すための歩みです。

若者へのメッセージ

最近、大学4年生の若者3人が会社の内定を辞退し、私の農園で研修生として学びたいと申し出てくれました。
彼らの目には「この国の農業を変えたい」という強い志が宿っています。
私はその姿に心を打たれました。
日本の農業は食料自給率の低下や農薬依存など多くの課題を抱えていますが、それでも理想を信じて立ち上がる若者がいる限り、未来は明るいのです。
私たちの自然栽培農学校は“農業の松下村塾”を目指しています。
志ある若者たちが「農業維新(アグリルネッサンス)」を起こす日まで、私は彼らの背中を押し続けます。
農業は、人の命を支える最前線です。誇りをもって挑んでほしいと思います。