梅原靜香
228 PARK AVE S
New York, NY 10003
略歴
カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校会計大学院修了後、Ernst & YoungニューヨークオフィスおよびPwCロサンゼルスオフィスにて、税務プロフェッショナルとして日本企業の米国現地法人向け税務コンプライアンスおよびアドバイザリー業務に従事。その後、Deloitte東京オフィスにて、日本企業の海外展開支援コンサルティングに携わる。
2022年、子どもが2歳と0歳のタイミングで、米国ニューヨークにてSquare Up New Yorkを設立。以来、日米双方のビジネス文化への深い理解を強みに、大手企業からスタートアップまで、事業のステージに合わせた米国市場での事業戦略立案および現地パートナーシップ構築を行い、クライアントに寄り添う伴走型のコンサルティングを展開している。
現在の仕事についた経緯
アメリカで税務プロフェッショナルとしてキャリアをスタートし、多くの日本企業が優れた技術や製品を持ちながらも、米国市場での展開に苦戦している現実を目の当たりにしました。
その経験から「日本企業の強みを世界で正しく伝える架け橋になりたい」と決意。東京のコンサルティングファームにて、日本企業の海外進出における事業戦略立案や実行支援に携わったのち、2022年にニューヨークでSquare Up New Yorkを設立しました。
社名の「Square Up」は「戦う準備をする」という意味を持つニューヨーク発のスラングです。日本企業に米国で存分に活躍してほしい、そのために必要な準備を私たちが支援したい、という思いを社名に込めています。
仕事へのこだわり
新卒でアメリカの監査法人に入社した際の教えが今も心に残っています。
IVYリーグで会計学を教えていたパートナーは、研修の冒頭で1月から12月をアルファベット順に並べるよう伝え、全米から集まった優秀な同期たちは「April、August、December…」とすらすら答えました。しかし次に彼は、月をアルファベットの後ろから並べなさいと課題を変え、その瞬間誰もがしどろもどろになりました。
「税務申告や予定納税を毎年繰り返す単純作業だと思ってはいけない。毎回必ず新しい課題があると想定し、クライアントと密に連携し、緊張感を持って取り組みなさい。実務とはアルファベットを後ろから数えるような予想外の事態の連続だ。」と彼は語りました。この教えを胸に、私は現在も米国進出を目指すクライアントに対して、それぞれの課題に真摯に向き合い、緊張感をもって伴走型の支援を行っています。日本企業の米国進出といっても、クライアントごとに目的や課題は千差万別であり、毎回新しい挑戦があるという信念は、この教えに端を発しています。
また、コンサルティング業界では机上の戦略立案や資料づくりに偏りがちな場面もありますが、弊社では、現場で一緒に汗をかくことを大切にしています。市場調査や戦略策定にとどまらず、現地のバイヤーとの商談設定、販促イベントの企画・運営など、実行フェーズまで伴走することが特徴です。
さらに、文化の違いを「壁」としてではなく「強み」として活かすことを常に意識しています。日本企業の誠実さや高い品質は、グローバル市場でも高く評価されています。私の役割は、その価値をアメリカの文脈で伝わる形に翻訳することです。戦略・言葉・文化を翻訳し、そのすべてを橋渡しすることが、私の仕事での最大のこだわりです。
若者へのメッセージ
日本企業の米国進出を長年支援する中で感じるのは、「若い頃から海外で挑戦してみたかった」「国内で準備を整えてからと思っていたら、気づけばこの年齢になっていた」と率直な思いを語られる経営者が非常に多いということです。
海外への挑戦心は、年齢を重ねて消えるものではありません。だからこそ少しでも海外に関心のある方には、準備が完全でなくても、どんなに小さな一歩でも踏み出してほしいと思っています。完璧を待たずに動き出した人にこそ、チャンスは巡ってきます。
そして皆さんには「人生で無駄な経験はひとつもない」ということをお伝えしたいと思います。
私は税務のプロフェッショナルからコンサルタントに転職した際、周囲の友人や同僚から「今までの経験が無駄になる」「キャリアが台無しになる」とまで言われました。確かにコンサルティングの現場では税務知識を使う機会はほとんどなく、キャリアチェンジは正直不安でした。
しかし会社代表として奮闘する現在、米国税務の知識も、日本型戦略コンサルのスキルも、確実に自分の武器になっています。一見遠回りに思える経験も、のちにすべてが力となります。
他人の評価や常識に縛られず、自分の信じる道を進んでください。未知の世界に飛び込む勇気を持ち、コンフォートゾーンを抜け出し、自分の可能性を信じて挑戦してほしいと思います。